Direct Print Material Seminarに出席してきました。
3Dプリンターで模型を作製してアライナーシートをプレスすることでマウスピース矯正治療のアライナーができます。利点として大量生産することに向いています。欠点としては、作製に使った3D模型は1回の使用でお役御免ですので破棄することになります。またプレスに使用したシートをトリミングして完成させますが残りの部分は破棄します。従ってマウスピース矯正治療ではプラスチックのゴミが大量に出ているのです。環境にはあまりよくありませんでした。また、プレスするため、歯の並び始めなど歯の方向がバラバラな場合や、複雑な歯の形態の場合は、歯とプレスしたアライナーの密着性が悪い部分がでます。これは吸引して作製する以上致し方ない部分ではあります。またそういったアンダーカット部分はマウスピースの着脱にも影響しますので、患者様が着脱するときに大変だったり、うまく入ったけどそういった部分はより密着性が失われてそれが歯の移動に影響しておりました。歯が並んでくることでそう言った複雑な形態がなくなりますので改善されていきますが、マウスピースが合わなくなる大きな原因です。
プレス式のマウスピース矯正治療では上記のような特性を理解した上で術者がマウスピース設計する段階で工夫をしてプランニングを立ててマウスピース矯正治療が円滑に進むようにしています。
そういった特性というかプレス式のアライナー矯正治療の問題点を改善した製品が登場してきました。
韓国のGraphy社が開発した世界で初めての3Dプリンターで直接アライナーをプリントする素材です。
講師は尾島賢治先生、Ravindra Nanda先生、Un Seob Sim社長(Graphy社)でした。
直接マウスピース(アライナー)を3Dプリンターで作製しますので、プラスチックのゴミがでません。またシェイプメモリー機能(Shape memory)を有しています。これは形状記憶能力を持っているということでマウスピースが変形しても元の形に戻ります。ブラケット矯正治療で用いられているニッケルチタンワイヤーを想像していただくとわかりやすいかと思います。元の形に戻ろうとしますので、より効果的に歯を移動させることができます。また、熱を加えることで柔らかくなりますので、歯並びが悪い状態や歯並びがガタガタな状態であっても着脱時に痛みなく装着できることも患者様にとってはうれしい機能になります。そういった従来のプレス式のアライナー装置の問題点を改善した画期的なダイレクトプリントマテリアルですので、習得して当院の患者様に使っていただくことが私の使命であると感じ技術の習得に勤しんでおります。
その甲斐あって当院では現在この第5世代のダイレクトプリントアライナーを作製して患者様にご提供しており大変ご好評をいただいておりますので、ぜひこのブログをみている患者様も興味を持っていただければ幸いです。